スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

東周列国 春秋編 第七集

 軍師という生き方。


 管仲を宰相とした斉は国力をつけ勢力を伸ばしていった。一度は管仲を手の中に収めながら、自分の元に留めることも殺すことも出来なかった魯の庄公は腹いせに斉を責める。これに怒った斉の恒公は応戦しようとするが、管仲は国力をつけることが先決と戦争には反対する。だが、恒公は収まらず、鮑叔牙を立てて攻め込もうとする。それを見た管仲は、深追いはしないように、とだけ忠告してやむなく魯との戦いを認めるのだった。

 さて、魯に攻め込んだ鮑叔牙の軍勢は連戦連勝したが、魯に曹列という軍略家が現れたことで形勢が変り、長勺での戦いで大敗し、この戦争は斉の敗北に終わる。これで仲父に合わせる顔がなくなってしまった恒公は、国政から引きこもってしまった。最初のうちはそれほど問題視していなかった管仲だったが、恒公のまわりに彼に取り入ろうとする小人たちが集まってきていることを知らされ、大事に至る前にフォローに走るのであった。また、恒公の方も、引きこもってはいるものの、仲父に対する信頼は少しも揺らいでおらず、小人たちの讒言には全く耳をかさなかった。

 こうして無事元の鞘に収まった(?)二人は、再び覇者への道を歩み始める。国力を伸ばすことに力を注いだ三年後、強大な勢力となった斉は天子の命を受けて諸侯を集め、同盟を結成してその盟主の座についた。単純な武力による支配ではなく天子という大義名分を得ての権力掌握である。
 だが、もちろん他の諸侯としては不満があるわけで、声をかけた八国のうち、会盟に参加したのは半分の四国のみ、しかもそのうちの一国、宋は、格式では下の斉が盟主になることを不服として勝手に帰ってしまった。形だけを見れば、会盟は失敗に終わったかに見えた。

 しかし、この結末さえ管仲の手の内であったようだ。まずは会盟に参加しなかったという理由をつけて魯の属国・遂を滅ぼして魯に圧力をかけ、会盟に参加せざるを得ないようにする。そしてその席上で奪った領土を魯に返すことで度量を見せつけ、他の諸侯からの信頼と人望を得た。こうして恒公は春秋初の覇者となった。彼は天子の命という大義名分を得て小国を助け、異民族の侵略を防いで諸侯の盟主としての地位を揺るぎないものとしたのだ。

 序盤に登場した曹列も充分魅力的な人物であったのだが、実は彼すら前座に過ぎないことを見せつけてくれた管仲の圧勝である。なんでしょうかこのハイスペックな人材は。洞察力も構想力も同時代の他の人間とはレベルが違う。これだけの才を持ちながら、自分は一歩退いて主君の補佐に徹するというのもおもしろい。軍師という存在が魅力的に感じるのは、こういう人が昔からいたからなんだろう。
 そしてまた、この天才に対して揺るぎない信頼を寄せている恒公という主君もまた大したものである。たとえ多くの人間的な弱点を持っていたとしても……。

 ところで、この話、サブタイトルは「尊王攘夷」である。もちろんこっちのエピソードが本家であるのだが、幕末の志士たちが「尊王攘夷」を唱えたのはもしかして物凄く皮肉な意味であったのでは? そう、このとき「尊王」の対象である天子は大義名分だけの存在であり、実際の力はほとんど無かったのだから。
スポンサーサイト

Comment

No title

イヤなパターンのおはなしだと、
三人組に「管仲のやつ調子に乗ってますよ」とか吹き込まれて
おかしな方向へ暴走してしまうものなんですが、
そういうブレがなく、引き篭もりの理由が「申し訳ないから」というところで、
こう、なんというか安心感がありますよね。

>ところで、この話
当時の志士たちに何か含むところがあったのかはわかりませんが、
元の意味を考えると仰る通りなんですよね(^^;
覇権を得るための方便としてか、あるいは生き残るための旗印としてかという違いはありますが…
要は、言葉だけとりあえずパクって リスペクトしてみました、ということなんでしょうか。

2008.07.16 (Wed) | Manbo #mQop/nM. | URL | Edit

No title

>イヤなパターン
実際、歴史上はこの”イヤなパターン”というのが散々繰り返されるわけで、それを知っているから、なおさらこの主従に対して好感が持てるわけですよね。

>言葉だけとりあえずリスペクト
西欧文明に触れて日本の未来を変えようとした人たちが、言葉や概念を中国古典に求めたというのも面白いですよね。「維新」なんかもそうだし。
って脱線しすぎか(^^;

2008.07.17 (Thu) | うちゃ #9fUrC8Yk | URL | Edit

Post comment

Secret

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。