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七剣下天山/韓志邦

 彼のまっすぐでひた向きな情熱がなければ、この物語は始まらなかったのである。

 物語が始まった時点の彼は、決して強い男ではなかった。武荘が清軍に襲われた時に、戦闘要員に入っていなかったことからもそれがわかる。だが、傅青主に連れられて、武元英と共に天山の剣士に助けを求めに行ったことから、彼の運命は動き始める。最初は、晦明大師の教えを守り、下山することを断っていた彼等を動かしたのは、志邦のひたむきな熱さがあったからである。そして、下山にあたって晦明大師から舎神剣を授かり、彼もまた七剣士の一人となった。

 初めのうちは剣の威力にふりまわされてばかりの志邦だったが、徐々にその力を使いこなせるようになり、最後には立派な七剣士の一員となっていた。特に、長い期間にわたって行動を共にしていた穆郎とのコンビネーションは抜群で、有名無名を問わず、彼の持つ日月剣と志邦の舎神剣の息の合った攻撃が倒した敵は多い。実際、紐枯魯の連れてきた四人の刺客のうち二人を倒している。

 その穆郎と二人で獄中に捉えられていた紅槍会会頭を一旦は奪還するものの、紐枯魯によって奪い返されてしまう。しかしこのとき、志邦のことを見込んだ会頭によって次期会頭に選ばれ、会頭の証である帯を託される。普通なら押しつぶされそうな大役である上、楚昭南を初めとする七剣士に対して不信感をあらわにする紅槍会メンバーとの板挟みになるという、胃が痛くなりそうな状況になる。それでも最後まで紅槍会をまとめ、楚昭南との決定的な破局を
何とか回避しようとする姿は、最初の頃の気弱そうな志邦からは想像もつかないほど大きく成長していた。

 幼なじみで武荘の頭領の娘である郁芳に想いを寄せているのだが、彼女の想いが楚昭南に向いていることに悩み、あからさまに彼女を避けようとするあたりは、少し痛々しかった。しかし、最終的にはそれも乗り越え、亡くなった頭領の代わりに彼女を支えようとする姿は、やはり頼もしい。特に、最終決戦に向かう前、慕っていた昭南によって父を殺されたと思い込んで惑乱する郁芳に、会頭の帯を預けることで落ち着かせようとした場面に、彼の成長と郁芳に対する深い愛情を感じた。

 傅前輩の言うように、揺るがない心が剣の強さを生むのだとしたら、6人の若い剣士たちのうちで、志邦に最もその資格があるのではないだろうか。
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Comment

No title

>揺るがない心が剣の強さを生むのだとしたら
なるほど、確かにそうですね。
最後まで観ると、大師が舎神剣を志邦に授けた理由というのが
すごくよくわかる気がします。
志邦って表面上はけっこうナイーブ(少なくとも元英とかのほうが
打たれ強さはずっと上に見える)なんだけど、芯はかなり強いんですよね。

2008.05.01 (Thu) | Manbo #mQop/nM. | URL | Edit

No title

>芯はかなり強い
そうですね。志邦は特に、悩んでいるところも含めて、物語を通じて成長していく姿がじっくり描かれていたので、私は思い入れが深いです。

2008.05.01 (Thu) | うちゃ #9fUrC8Yk | URL | Edit

天晴れです。

郁芳に報われないけれど、一途な愛を持ち続け、
それを大切にしながら、感情に溺れずに成長する・・・・。
すごいですね。
女として、憧れる男の中の男だと思います。
(こういう場合、現実だと、ストーカーになりやすい・・・笑)

2008.05.03 (Sat) | D #- | URL | Edit

No title

最初の頃、もんもんとしていたころはどうなるかと思ったんですけどね(笑)
ちゃんと好感が持てる男になって行ったのは、凄いです。

2008.05.03 (Sat) | うちゃ #9fUrC8Yk | URL | Edit

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