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ヒトという生物/生物としてのヒト

 こちらのエントリーでのバイリニアさんとのやりとりで、どうも話が噛み合ってない。これはもしかして話の前提が違っているのではないかという気がしている。

 とりあえず「健全/不健全」という言葉の妥当性については置いておく。私が「子供を持とうとしないのは生物として不健全」という言葉をどう解釈したかというと、「生物と言うのは全て子孫を残す為に生きているのだから、それを行なわないというのはおかしい」と読んだのだ。一般論としての”生物として”という意味にとったわけ。
 なので前回のエントリーでは、”生物が子孫を残す為に生きているのは確かだが、そのために全ての個体が子孫を残そうとするわけではない。「子孫を残すために自分の子を持たない個体」というのがありうる”というのを示したのだ。

 しかし、「子供を持たないのは生物として不健全」はもう一つ、「ヒトという生物として不健全」と解釈することもできる。つまり、一般論ではなく、個別の生物という意味で。もしかしたらこう解釈する人の方が多いのだろうか。それならハチだの狼だのを持ち出されても「はぁ?」となるのはもっともだ。

 じゃあ、ヒトという生物として不健全かどうかを考えてみよう。と、その前に、「健全」の意味は「子孫を残そうとする行動を取っているか」という点でのみ判断する(ここで言う「子孫」は自分自身の子供を意味しない。種全体となると、それはまた違うので、ちょっと定義がゆるいが同族くらいにしておく)。だから、バイリニアさんの「健全」の定義とは初めからずれがあるんだよね。ここは、私が「生物として」というのに注目しているということで、容赦して欲しい。

 さて、生物全般としてやはり「子孫を残す」というのが生物の行動の主目的になっているのは確かだ(というか、基本的にそういう行動を取る種しか生き残れなかったのだが)。だがその手段にはかなりのバリエーションがある。

 自分では動けない卵の時代や、まだ成長しきっていない幼年期というのは、他の生物に食べれたりして、死んでしまう可能性が高い。この段階で全滅されてしまっては次世代に子孫を残せなくなってしまうので、いろいろ対抗策をとることになる。とれる手段は大別して「死ぬことを見越してたくさん産む、そのかわり育てることには手をかけない」と「子供が一人前に育つように面倒を見る、そのかわり一度に産む数は少なくする」の二つの方針がある。実際には完全に二分されるというというよりは、その両極端の間のどこかに位置することになるわけだ。
 
 そして、子供を育てるタイプの生物にもいろいろある。片親だけが面倒を見るもの、両親が育児に参加するもの、両親以外の成体を含むグループで子育てをするタイプ。ハチやアリは出産と育児の個体を別にして、完全に分業するというタイプになる。なんかこれ、人間の家族のパターンのようにも見えるね。

 この中で、ヒトという生物はグループで子供を育てるタイプになる。今は核家族化が進んで、両親や片親だけで育てているようにも見えるが、実はそうではない。
 この形態をとるメリットは子育てに関するリスクとコストをグループ全体に分散できる、ということにつきる。このケース、子供を一人前にするまでに手間がかかるケースがほとんどである。こういう場合、育てるものが親だけであれば、子供を外敵から守りながら、自分たちの分だけではなく子供の分の食糧も確保しないとならない。また、子供が独り立ちする前に親が死んでしまえば子供も道連れになってしまうのが常だ。だが、グループで育てていれば、子供を養う労力は他の個体に分散できるし、万一親が死んでしまっても、代わりのメンバーが育児を引き継ぐことができる(野生生物が、親が死んだ子供の養育を引き継ぐがどうかは、私は知らないけれど、どうなんだろう、興味のあるところだ)。グループ内で子供を持っていない個体というのは、余剰労働力であり、万が一の場合の保険にもなっているのだ。

 日本で核家族化が進んでいるとはいえ、子育てする親の負担を分散させたり、親に万一のことがあった場合に面倒を見たりするシステムまで放棄したわけではない。現在の人間もやはり、グループで子供を育てる生き物なのだ。そしてこういう生物では、子供を持たない個体である、というだけでは「健全ではない=子孫を残そうとする行動をとっていない」とは言えない。

 実は、バイリニアさんのところで、「じゃあ、カトリックの神父様は不健全なの?」というようなコメントを残したのだけど、教会のような宗教施設が、捨て子や孤児、未亡人といった人たちのシェルターとして機能してきたことも考えてみて欲しい。上で書いたような万が一の場合の保障機構になっているってことがわかると思う。
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