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免罪のロジック

 先日のエントリーでも触れた久々さん、どうやら日本軍を免罪したいらしいのだが、そのロジックが穴だらけなのだ。まずは一点目。
>解剖は軍医が衛生兵の医療実習として個人裁量で行ったとみられる。
あの、これって「日本人が外国で犯罪を侵した。だから日本人は残虐だ」というのと同じことですよね。
軍医の独断ですし。

 まさか趣味で生体解剖をしたとは思えないので、当人としては軍務の一環のつもりであろう。さて、これは普通の会社でも一緒なのだが、構成員が職務遂行の過程で違法行為をしたら、その組織は管理責任を問われる。職務遂行上守らなければいけない法律を教育していたか、違反をチェックする機構はあったか、違反者はきちんと摘発され相応の処罰を受けているか、違反せざるを得ない環境や、違反を黙認するような環境になっていないか等々、組織がチェックし、しかるべく行動すべきことは多々ある。日本がジュネーブ条約を結ぶということは、単に書面にサインしてあとは違反者を軍法会議にかけて処罰していればいいってわけじゃないのだ。軍医が独断で行ったことであっても、彼の行動を止められなかった軍の責任は(多少に関わらず)必ずあるのだ。
 また、久々さんのコメントのこの部分、
これって「日本人が外国で犯罪を侵した。だから日本人は残虐だ」というのと同じことですよね。

 これは彼が、「組織の責任を追及すること」と「ある集団を差別すること」を混同していることを示している。「日本兵が残虐行為を行った」から「日本軍の責任を問う」のであって「日本人は残虐であると非難する」のではない。この二つを混同させることで、日本軍を免罪しようとしているのだ。(久々さんは、これとほぼ同じ論法を全く逆方向にも使っている、機会があったら紹介してもいい)

 さてもう一点、残虐行為自体に言及したコメントがある。
使ってるのがスパイやゲリラなどのジュネーブ条約違反してる人間だからね。
何処の国でもこういうやつらは即死刑が拷問だったし、当時としては普通。
無駄に殺すぐらいなら、解剖とかしても問題ないんじゃね?
現に後の医学にかなりの有益を残したし。

 コメント中の「ジュネーブ条約違反」については「ジュネーブ条約保護下には無い」の間違いで、久々さんは後に私からの指摘を受けて修正している。だが、このコメントはひどいものだ。ジュネーブ条約がどういうものであるかを全く理解しないで書いているとしか思えない。(そのくせ条約違反者は即死刑か拷問になっても文句は言えないらしい。だとすると一番危ないのは久々さん自身だと思うが)

 ジュネーブ条約は、始め傷病者保護のための条約として作られた。その後、何度かの改定によって次第に保護の範囲を広げて、現在は捕虜、戦時下の文民保護までを含む国際条約となっている。その基本理念は「戦争遂行中の軍隊は、戦えない者、および戦わないことを選んだ者を可能な限り尊重し保護せよ」というものだ。

 だから、たとえこの条約に対する違反者が出たとしても、裁判にもかけずに即処刑したり、拷問にかけたりすることは法の理念に反することになる。つまり、ジュネーブ条約を正しく理解しているのであれば「ジュネーブ条約違反してる人間だから、生体解剖されてもしかたがない」なんて主旨のことは口が裂けても言えないはずなのだ。

 また、このように「スパイの疑いがあるものは拷問にかけ、少しでも疑いのあるものは処刑する」などという方針が、日本軍をどのような窮地に追い込んだかについては先日のエントリーで述べたとおりだ。道義的な見地だけではなく、戦略的な見地からしても愚かな方針であったと言わざるを得ない。

 久々さんとしては「本音と建前」と書いているように、偽善を暴いているつもりかもしれないが、あまりにも見識が浅すぎる。実社会はそこまで無法地帯ではないよ。
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