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公共考査機構/かんべむさし

 果たしてどのくらいの人が知っているだろうか。もう二十年以上前に出版された作品で、現在絶版で手に入りにくくなっている。が、今の時代に読んで欲しい本だと思う。

 舞台は1980年代と思われる日本。公共放送の番組「あなたの意見わたしの意見」は一見民主的な形で人々の意見の是非を問うというもの。しかし、その実態は異端と思われる意見を持つ者を番組に出演させてつるし上げる、というしろものだった。主人公は、会社の同僚に過去の発言を密告され、この番組に出演させられることになる……。

 確かに、ずいぶん昔の作品なのでところどころに時代を感じさせるところはある(一番時代を感じるのは、主人公が出演させられることになる発言の内容なんだけど)。しかし、
警察力や軍事力を表に押し立ててではなく世論や正論を使わせ、多数意見ゆえに個人に問われる責任のほとんど存在しないことを利用して国民一人ひとりを無責任にさせ、その状況では個人は無名氏であることを彼らに与える大きな安心感として一見好きなように泳がせる。そして実は、自分達の意図する方向へ大衆を引っ張っていこうとしている。

 とか、
自分が酔い続けるために、味方のなかから犠牲の羊を選んで社会的に抹殺し、そこからはかない安心感を得ようとしている。

 なんて文章はちょっとドキッとするのではないか。この小説の中では異端者をつるし上げる道具はテレビを中心としたマスコミなのだが、それがネットで実現してしまったのではないか、と思えてしまうのだ、あちこちのブログの”炎上”を見るとね。この小説の中でも、実際につるし上げのシステムを動かしているのは、匿名性の後ろに隠れたたくさんの”名無しさん”なんだ。

 この物語では、はっきりとした黒幕がいて、ある目的を持って世論の方向をコントロールしようとしている。もちろんこれは小説で、現実にはそんな分かりやすい悪役がいてすべてをコントロールしているなんてことはないんだろう。だが、”炎上”事件を起こされるサイトが”ある傾向”を持つのは確かに感じないか? 
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