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巌窟王 第十八幕 決闘

 冒頭、海岸にいる三人の男女の姿が挿入される。それが誰なのか顔ははっきりとは見えないが、友人同士で楽しみに来ている様子……
 場面は一転して、夜明け前のブローニュの森にモルセール家の鎧が現れる。やがて伯爵家の家令たちが車で、そして鎧をまとった伯爵も。たがいの武器を確かめあった後に決闘を始める二人。そこに、伯爵の言葉に従いやってきたメルセデスは、伯爵がアルベールを殺そうとしていることを悟り、止めに入ろうとする。メルセデスの言葉にも心を動かされることなく、伯爵は鎧を切り刻んでゆく。鎧の腕が、足が切り落とされていく。
 一方でようやく目を覚ましたアルベールは、フランツの姿がない事に気が付く。伯爵との決闘の相手はフランツだったのだ。アルベールが先に目を覚まさないように薬まで使って身代わりになっていた。フランツの意図を察したアルベールは、決闘場所に急ぐ。が、彼が到着する前に既に勝負はついてしまっていた。止めを差そうと鎧から降りてフランツに近づく伯爵。だが、それこそがフランツの狙いだった。彼はノワルティエより聞かされていたのだ、巌窟王に取り付かれたものは不死の身体を得る替わりに、人間らしい感情が消えていく。そして復讐の感情が消えてしまうことを恐れる伯爵は、その心臓だけは最後まで人間のままにしておくだろう。フランツは止めをさしに来た伯爵の心臓を狙っていたのだ。狙いたがわず心臓を貫いたフランツの剣だったが、伯爵の手はその剣を握りつぶす。もう心臓も人間のものではなくなってしまったのか。伯爵は止めの剣を振り降ろした。
 アルベールがたどりついたのはすべてが終わった後だった。まだ息のあるフランツはアルベールに、去年ユージェニーと三人で海に行った時の思い出を話し、ハッピーバースディの言葉と共に事切れた。

 フランツ、やはりアルベールの身代わりになってお亡くなりになってしまった。冒頭の三人の男女は、フェルナン、エドモン、メルセデスの様にも、アルベール、フランツ、ユージェニーの様にも見える。もちろんこの三人を対比させるためにわざとそうしているのだろう。メルセデスの位置に来るのがユージェニーではなくてアルベールなんだけど。
 ユージェニーが小説版とは別のキャラクターになっていることは前に書いたが、フランツもまた、かなりの改変がされている。小説版では旅先でアルベール一緒に伯爵と会ったり、ヴァランティーヌの婚約者である、というところまでは同じだが、アルベールに対してここまで献身的に振る舞うキャラクターではなかった。もうここからの展開は小説とは別物になる。フランツを失ったアルベールは伯爵を復讐の対象にして生きるようになるのだろうか? 伯爵が復讐のために人生のすべてを捧げたように……。

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