リスク管理というなら、このくらいは考えてよね
各論に入る前に、一つ総論的なことを書いておこう。近年、治安が悪くなったなどと言われることも多いけれど、日本において殺人事件の発生件数というのは非常に少ない。男性であれば暗い夜道であっても結構無防備で歩けてしまうくらいには安全である、と言っても良いだろう。でも、以前からずっとこの治安状態だったかというと、そういうわけではないよね。治安を良くしていこう、安心して歩ける世の中にしよう、ということを続けてきたからこそ現在の状況があるわけだよ。そして、そのための努力は決して「被害に遭いそうな人は気をつけよう」なんてものじゃなかったはずだろ? それじゃ決して「安心して歩ける世の中」なんてできないものな。
さらに言えば、なにか特効薬があって一気に今の安全が手に入ったわけでもない。行きつ戻りつしながらも、徐々に良い方向に向かっていったはずだ。こういう問題に銀の弾丸は存在しない。粘り強く、地道に変えていく覚悟が無いとできないことだ。
前置きが長くなった、個別の議論に移ろう。長期的に見れば啓蒙や教育というのも重要なポイントではあるのだが、それを言っても理解するつもりが無い人もいるので、とりあえず置いておく。いつか機会を見つけて書きたいところだ。この話をすると道徳論とか精神論とか言い出す連中がいるから、どっかでちゃんと言っとかないといけないんだが……。
というわけで、今回は抑止力の話。ちょうど碧猫さんがコメント欄にいい資料を提供してくれたので、これを元に話そう。女性の側に自衛しろとか言う人間に共通しているのは、犯罪者側は欲望のまま振る舞っているのだから、彼らに理性的な行動を期待するのは間違っている、という認識である。しかし、当然犯罪者側にだって理性はある、彼らは彼らなりに自分のリスクを回避するために”理性的な”行動を取る。だから、彼らが何を恐れているのかを知れば、行動を抑制することは十分可能だ。そして、こちらの資料を見れば、彼らが告発されることを恐れているのは明白だろう。直接的な腕力比べならば、その場で圧倒することも出来るし、狭いコミュニティの中での権力関係を悪用して性交渉を強要することは出来ても、警察やら国家やらが出てくれば太刀打ちできない。
だから、彼らはなんとかして告発されないように振る舞う。おとなしそうな格好をしている女性を狙うのもその一つの現れだよね。他にも、被害者に落ち度があるような言い方をする、世間から白い目で見られるぞ、と脅す、なんていうのも良くある手段だよな。
前のエントリーで書いたセクハラにしても、告発されるようになってからようやくいくらか抑制されるようになってきた。実際にはまだまだ泣き寝入りさせられているケースも多いのだけど、少なくともやりたい放題という状態からは前進しているわけだ。
従って、抑止効果を狙うのであれば、被害者が告発できる環境を作る、というのがまずあげられるわけだ。実際に、こちらの資料を見れば、被害にあっても泣き寝入りする人はまだまだ多い、この事実が性犯罪者を勇気づけている。
ちなみに、女性が武装することはあまりお勧めできない。武器を持つ、ということは武器を奪われて使われるリスクが存在するということを忘れない方が良い。たとえ相手が一人で自分が武器を持っていたとしても、自分よりも体格が勝る相手にいきなり襲いかかられて、有効な対策がとれるか? ということを良く考えて欲しい。また、加害者が多くの場合顔見知りである、ということも考慮する必要があるだろう。
さて、そろそろいくら馬鹿な人でもわかるんじゃないかと思うが、曾野綾子のような言動は、被害者を萎縮させ、性犯罪者を助長する。はっきり言ってしまえば、性犯罪のリスクを高める効果しかない。もう、何度も言われていることだし、はっきり言ってうんざりなんだけれど、やはり出てくるたびに叩かなきゃ、こんなもんにうんうん頷いている人がいる状態が続く限りは。



曾野氏は最近の「服装」や「行動」を批判したいがために性犯罪をダシに使っているのだと思います。性犯罪を無くそうなんてちっとも思っていないんじゃないか。無くそうと思っているのなら、今回のうちゃさんの記事のように、資料を読み取り、どんな対策を講じるべきか、といった言動に必然的になるはずです。
もっとも、「最初から私は性犯罪を止めることには興味ありません」て言われそうですけど。
2009.12.05 (Sat) | nobu #1rNpmKtY | URL | Edit