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FIXER/中森明菜


一昨年の紅白で復帰し、1月に「オリジナルアルバムを作っている」という話を聞いてから待つこと一年。ようやくリリースされたアルバムは、ここまで待った甲斐がある素晴らしいものであった。

予想を裏切って期待の上を行くという褒め言葉がある。彼女がそういう人だというのは知っていたけれど、まさかここまでとは。これまでの彼女のアルバムの中でも最高傑作だと思う。いや、今まで私が聞いてきたアルバムの中でもこれを超えるものってちょっと思いつかない。

とにかく収録曲のクオリティがとても高い。どの曲もシングルカットできるほどの強い個性と魅力を備えている。いわゆる”捨て曲”が本当にただの一つもないのだ。そして、それぞれがくっきりとした輪郭を保ちながら、FIXERからRe-birthまで欠けることのできないピースとして存在し、アルバムを通して一つの作品として成立している。コンセプトアルバムのような完成度とベストアルバムみたいな華やかさを同時に持っているのだ。こんなの今まで知らない。本当に初めてだ。

オープニング曲のFIXERは映画「女が眠る時」のイメージソングとして予告編でも少し流れていたのだけど、まさかそのあとにこんな展開が待っていたとは! もうしょっぱなから「やられた!!! なにこれカッコいい」って思いましたよ。そういえば、この曲イントロなしでいきなりヴォーカルが入るので、一番最初に耳に飛び込んでくる「音」は言葉を発する前の彼女のブレス音なんだよね。これも計算のうちなのだろうか? わずか3分の短い曲なんだけど、それだけに鮮烈。いやでも、ロングバージョンも聴いてみたい。映画公開あたりに合わせてシングルでMovie Mix出しません?

その印象が消えないうちに、Rojoの鼓動のようなイントロが入ってくる。もう何度も聴いた曲なのに、これが新鮮に聞こえてくるから不思議だ。この1曲めと2曲めのつなぎは神がかってる。気持ちの盛り上がり方がハンパないのよ。

続く3曲めのEndless Lifeでも攻めまくり。Rojoが疾走ならこちらは飛翔のイメージか。スケールの大きな、どこか映像的なものを感じさせる、これも映画のイメージソングになりそうな曲だ。ちょっと今までにはなかったような曲調で、ここに来て新境地ですか明菜様。以前であれば彼女のファルセットは儚げに聞こえていたものだが、ここでは力強く響く。

4曲めのunfixableは9月にシングルでリリースされた曲。ちょっと聞くとわからないのだけど、ヴォーカルとオケの緊張感がたまらん曲である。不安を煽るだけ煽って、断ち切るように切れるオケと、それに抗うように繰り返されるI’m fixableのコーラス。
この曲、アルバムの中でどう配置されるのか見当がつかなかったんだよね。しかし、なるほどね、ここはこのアルバムの境界面。表層から深層への橋渡しとして使ってきたわけだ。

そしてLa Vida、星さえ凍る暗闇の中で踊る孤高の舞姫の唄。アルバム前半の音の洪水が嘘のように、ギターとパルマとヴォーカルだけのシンプルな構成。この振り幅の大きさが彼女の魅力なのだと思う。私が、このアルバムの中でライブで聴きたい曲の筆頭。

6曲め、ちょうど真ん中に最も内省的な雨月を持ってきた、そう、ここが最深部。深い悲しみとそれでも生きようとする意思に触れる。先行シングルでリリースされた4曲のうち、一番「中森明菜らしい曲」だったと思う。ただ、実は私、昔からこの系統ちょっと重すぎて苦手なんだよね。しかし……

そこから、とどけたい 〜voice〜へのつなぎが素晴らしい!
歌詞だけ見るとやっぱり重いんだけど、なんなのこの力強さは。折れそうな心を奮い立たせるように唄っていた雨月に対して、迷いを吹っ切って歩き出す足取りの確かなこと。ここあえてアップテンポに振るのではなく、バラードつながりにするところがすごいよね。ここから浮上が始まる。

次の欲動は、少しラテンの香りがするアップテンポの曲。La Vidaのアンサーソングのような雰囲気もある。闇の中から光溢れる場所に出てきた感じ。イントロのギターで「来た来た」と少しニヤついてしまった。

そして、TANGO NOIRを思わせるkodouへ。って歌詞といい曲調といいアレンジといい完全に狙ってるだろうこれ。地声でノリノリで唄う明菜様。なんかすげえ久々に聞いた気がする。やっぱりラテン系は似合うな〜。

めでたく復活なったとろこで、そのままクロージングに進んでもいいところなのだが、ここで幻想的なLotusを挟んでくるのが憎いところ。美しい睡蓮の咲き誇るここは現世? あの綺麗は歌声は本当に人のもの? ”攻め”というのは何もアップテンポの曲だけじゃないんだな。何気にジャケットのイメージに一番近い曲だったりもする。

ラストは全てを包み込むような優しい歌声が心地よいバラードのRe-birth。何度聴いてもここでぐっときてしまう。素晴らしい音楽をありがとうという気持ちになるよ。

アルバム全体を通して伝わってきたのは、「生きる」という強い意志だった。それはどんな絶望の中でも決して折れることのない強い意志。私の好きな言葉に「人の足を止めるのは絶望ではなく諦観、人の足を進めるのは希望ではなく意志」というのがある。だから彼女は「希望」ではなく「意志」を歌に込めたのじゃないかと思う、絶望に折れそうになった人のために。

それから、このアルバム、どこにも表記がないけれど、シークレットのボーナストラックで、Rojo -Tierra-とunfixableのロングバージョンが収録されている。どちらも原曲のとんがった部分をさらに尖らせたようなアレンジなので、本編収録とは違った楽しみがある。
ただ、本編の余韻に浸りたいなら、少し時間を置いてから聞いた方がいいかもね。

01.FIXER -WHILE THE WOMEN ARE SLEEPING-
02.Rojo -Tierra-
03.Endless Life
04.unfixable
05.La Vida
06.雨月
07.とどけたい 〜voice〜
08.欲動
09.kodou
10.Lotus
11.Re-birth
——————Bonus Track———————
12.Rojo -Tierra- (Fixer Version)
13.unfixable(Fixer Version)
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Rojo -Tierra-/La Vida/中森明菜

セールスも好調、アマゾンのレビューでも絶賛という明菜さんのシングル。
買ってからずっとヘビロテ中である。

4年以上の休業開けに出てきたとはとても思えない、会心作と言っていいんじゃないだろうか。世間の高評価は復帰開けのご祝儀だけではないだろう。

Rojo -Tierra-については、ちょっとアニソンっぽいという感想は結構多くの人が持ったようで、実際、ニコ動では既にJOJOのMADがあがっていたりする。
この曲とボーカルが生み出す疾走感は。確かにアニメのオープニングに使うとあいそう。サビに向かって盛り上げて行くのは彼女の得意とするところだものね。いっそのこと、正式にどこかで使わせてもらってはどうでしょうか?

あと、覚えやすいんだよね。繰り返し聞いていたらいつのまにか口ずさんでる。それにしても復帰一作目がこんなアップビートの激しい曲になるとは、予想してなかったので、これは嬉しい。

それがCWのLa Vidaになると、一転、ギターとパルマだけというシンプルな伴奏で歌われる曲。静かな感じ始まる曲だけど、聞いていると、いっぺんにいろんな感情が心に入ってくる。「孤独」だったり「決意」だったり「誇り」だったり。ちょっと一言じゃ表せないような……、ああ、だから「人生」ってタイトルなのか。ほんの4分半のなかでそこまで伝えてしまう。凄い、本当に。じっくり聞き込んでたら涙でてきたもんな。

それから、2曲とも、オケがすばらしいです。特にLa VIda。
シングルCDなので、お約束として2曲ともボーカル抜きのインストが入っているけれど、ふだんは飛ばしてしまうそれらのトラックもこのシングルに関しては飛ばさず聞いてる。本当に傑作。大満足なのである。

待ってて良かった。

Rojo -Tierra-
作曲:浅倉大介
作詞:川江美奈子/Miran Miran
編曲:浅倉大介/鳥山雄司

La Vida
作曲:koshin
作詞:izumi
編曲:koshin/沖仁

お待ちしておりました

ずっと待ってるからこの先を聴かせて欲しいと書いたのは、もう3年くらい前になるのか。

去年の年末に知った中森明菜の復活と紅白出場の話は、嬉しい気持ちの反面、心配も大きかった。
無責任なゴシップ記事は無視しようと決めていたけれど、ネガティヴイメージばかり繰り返し伝えられていれば、どうしたって不安になるものだ。しかも復帰一発目が紅白? そして、多分ほとんどの人が期待してるであろう往年の名曲じゃなくて、誰も聞いたことのない新曲?

大丈夫か、それ? と思った。また、叩かれるんじゃないか、と。

いや、舐めてました、ごめんなさい。

紅白での歌唱を聴いて、未だに攻めの姿勢を貫く姿に嬉しくなり。
配信された新曲を落としてきて繰り返し聴き込んで。
NHKの特番を観て。
そして発売されたシングルを買い。

「ブランクを感じさせない復活」どころじゃない、あの時望んだ「その先」にもう着いてるじゃないか。そしておそらくは、さらにその先まで行くつもりでいるんだろう。

これだからこの人のファンはやめられない。

APPETITE/中森明菜

いまだ明菜祭り継続中で、最近聴いていなかった古いアルバムなども引っ張りだしてヘビロテ中なのであるが、80年代に比べると90年代以降の曲は知名度がいまいち。しかし、埋もれさせておくにはあまりにももったいない曲が多いのに改めて気づいたりしている。

人間の男に恋した植物の歌と聞いてどんなイメージを浮かべるだろう? 「草食系」なんて言葉があるくらいだから、植物ってのは受動的でおとなしいなんて思ってしまうかもしれないが、とんでもない。生命力にあふれた亜熱帯のジャングルを連想するような濃厚で官能的なラブソングなのだ。だいたいこのお題で相手の男がキックボクサーでジゴロなんて、どっからその発想が出て来るのだ。これをまた、えらくかっこよく歌うんだよな。いろいろ書くより見る方が早いよね。

アイドル歌手だったころも良いけれど、この雰囲気はやっぱり年取ってからでないと出せないと思う。しかし、この曲全然売れなかったらしい。もっと知られてもいい曲なのに、もったいない。この人の場合、音源で聴くよりライブでのパフォーマンスの方が数倍いいから、そのへんも影響してるのかもしれないけど。

iTunesのリンクはこっち

DIVA/中森明菜

実は昨日のエントリーはただの前振りなのである。昔話がしたかったわけじゃないんだよね。80年代の輝きがあまりにも強すぎるうえ、最近のベスト盤やカバーアルバムの乱発、そして一昨年からの休業とすっかり過去の人のように思ってたりしないだろうか? でもそれは大きな間違いなのである。

というわけで、今のところ一番新しい彼女のアルバム(iTunesStoreへのリンクはこっち)。
前作のDESTINATIONもかなり良かったのだけど、本作はそれ以上。もうね、1曲目のイントロ聴いた時点でぞくぞくしてしまった。ハードでダークでかっこいい!! うん、確かにカバーも悪くない、ベスト盤で昔を振り返るのもいいだろう。でもやっぱり、”今”を歌うのが一番あってるよ、この人は。
収録曲はどれも捨て曲なし、特にタイトル曲であるDIVAのかっこよさは異常。悲しみも憎しみも力に変えて、揺るがずに真実の愛を歌うDIVA。真っ正面からそう歌うか。ええ、ええ、あなたはその通りの人です。もう認めるしかない。
ハードな曲ばかりでなく、バラード系もかなりいい。今までリリースされた彼女アルバムの中でも一番すきかもしれない。正直な話、長く聴いているけど、こんな感想を持つなんて思わなかったよ。アルバム後半のX lady~HEARTBREAK~withの流れもいいんだよな。これはライブで聴きたいよ。

そう、昨日のエントリーは昔の彼女を偲んでいたのではなく、もう一度歌ってくれることを期待しているのだよ。だってこんなのを聴かされたら期待せずにはいられないじゃないか。ずっと待ってるからこの先を聴かせておくれ。

収録曲
GIVE TAKE
DIVA
thinking of you
REVERSE
逢えなくて
X lady
HEARTBREAK
with
茜色の風
Going home

Legend of DIVA

夜のヒットスタジオとザ・ベストテンの中森明菜DVDBOXを買ってしまい、このところ中森明菜祭りが続いている。人気絶頂期の映像にたっぷり触れたおかげで、懐かしくなってしまったというのもあるんだけど、長いこと聴いてなかった当時のアルバムを引っ張りだしてみたら、これが思っていたよりずっと良くて。持ってない他の音源とか、映像ソフトとかも欲しくなったりしてる。あとYouTubeで映像をあさったりとかね。

80年代後半の彼女というのは人気と実力を兼ね備えたトップスターだった。ちょうどこの時期の曲を集めたベスト盤がある。
BEST II/中森明菜
ノンフィクション エクスタシー
TATTOO
DESIRE -情熱-
TANGO NOIR
BLONDE
I MISSED “THE SHOCK”
AL-MAUJ (アルマージ)
Fin
ジプシー・クイーン
難破船

見ての通り名曲ぞろい、それぞれの曲に独自の世界があって、でもなぜか統一感のあるという飽きのこない良いアルバムである。だがしかし、当時の映像を見てしまうと「こんなもんじゃないですよ」と言いたくなってしまう。曲ごとに変わる世界観に合わせた衣装とセットをそろえ、しなやかに踊りながら歌う姿は本当に魅力的で、TVの歌番組というのは彼女に取って最高の舞台だったんだと思う。いや、ほんとうにわずか3分のドラマのためにどれだけ魂込めてるんですか、あなたは。

で、多分同時代を知っている人にとって、80年代後半の中森明菜ってこの、ヒット曲連発してTVの歌番組で派手なパフォーマンスしてたイメージが残っていると思うのだが、実はそれすら当時の彼女の魅力に半分にも達してなかったりするのだよ。

まずはシングルB面。A面にくらべて露出が少ないのだけど、埋もれさせておくのがもったいない名曲ぞろい。このころはA面候補に最後まで残ったものがB面にまわることが多かったようで、「こっちがA面でもいいんじゃないの?」って曲ばかり。このへんから手に入るので、ぜひ試聴だけでも。

そして、もうひとつはアルバム。このころのアルバムって、TVでのパフォーマンスをメインに据えたシングルとは全く違うコンセプトで作られていて、ほとんどシングル曲が入っていない。ビジュアル面を含めたトータルで世界観を作っていたシングルと、音の力だけで歌の世界を伝えなければならないアルバムとじゃアプローチが違うのは当然って言えばそのとおりなんだけど、それを曲や詞を他から提供してもらう歌手という立場で自覚して自ら手がけていた人というのは、あんまりいないんじゃないかな? 音楽的な実験が多くて、それは必ずしも成功とは言えないこともあったけれど、今振りかえって見れば、確かに彼女の糧となっていることがわかる。
つうかですね、不思議なんて、当時全然わからかったけれど、久しぶりに聴いてみたら、これとんでもないですよ? 全然古くなってない。

B面やアルバム曲は露出が皆無というわけでもなく、夜ヒットのDVDにも何曲かおさめられているし、YouTubeにもあがっていたりするので探してみてもいいかもしれない。先に書いた「不思議」の曲を歌った回は伝説化してるそうだし(^^)

そんなわけで、まだしばらく祭りは続くのである。

絶品

昨日は吉祥寺のライブハウス「STAR PINE'S CAFE」でFor Your Pleasureというライブを見に行ってきた。なんてさらっと書いてるけれど、もうずっと前から楽しみにしていて、仕事も休んで朝からそわそわしっぱなし。いや、休んだのは、終わってから駆けつけたのでは間に合わないというのもあったんだけど、出社していてもたぶん仕事にならなかったろうな。

というのもこのライブ、【一夜限りの真夏の夜の夢の饗宴!!】と銘打っているとおり、メンバーが凄いのである。

*member*
CHAKA (vo)ex. PSY・S
KONTA (vo, s.sax, pipes)Barbee Boys 
窪田晴男(G)ex. パール兄弟、ex. ビブラトーンズ
Dr.kyOn(Key)ex. Bo Gumbos
安部OHJI隆雄(B)ex. Barbee Boys、ex. Live PSY・S
小田原豊(Dr)ex. Rebecca

うちのブログを長く読んでくれている人なら、このメンツを見ただけで私が猫にマタタビ状態になるのは分かってもらえるだろう。

そして夕方、開場30分前くらいに到着し、急遽配ることになったというスタッフ手書きの整理券を受け取ったり、mixiのPSY・Sコミュのメンバーと合流したりしながら開場を待つ。だいたい開場の時点で並んでいたのは100人くらいだったかな。たぶん、バービーファンとPSY・S ファンが大半を占めるんだろうけど、このあたりファン層が重なっているから、私みたいに両方好きという人も多いんだろうな。最終的には300人くらい? 満員状態でありました。

“ HEY JUDE ”で始まったライブは洋楽カバーがメイン。これがめちゃくちゃ格好いい。メンバーを見ればわかるように、皆さん凄いプレイヤーでありシンガーで、一種のオールスター戦みたいなものなので、それぞれがソロを取るだけで、おおっーとなるのは当然なんだけど。しかし、本当に凄いのはこの人たちが音を合わせてきた時である。1+1が3にも4にも5にもなるようなのが、5人分。ごめん語彙が貧弱で、凄いとか格好いいとかしか言えないよ。

7時に始まったこのライブ、途中休憩を入れての二部構成で、最後の曲が終わったのが10時近く。あれ、もうこんな時間? と思うくらい時間の経つのが早かった。PSY・S の曲もバービーの曲もそれぞれ一曲ずつ聴けて、とても熱くて充実した時間を過ごせた。一夜限りのなんて言わないで、またこのメンバーでやって欲しいな。
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